OpenWrtを入れてみたデバイスのリスト:2023年末

この数年で意味もなく多数のルータにOpenWrtを入れてきたので、所感をデバイスごとにつらつらと並べてみました。Wifi6は未導入なのでWifi5機しか試しておりません。各機種に対応させてくれた有志の皆様に感謝。

Buffalo WXR-2533DHP

性能/使い勝手
  • 古いが、当時のフラッグシップ機だけあって、CPU性能は十分だしメモリも512MB積まれているし、ストレージも50MBくらいは使える。USB3.0ポートが2つあり、あれこれ繋いで遊ぶのにも向いている
  • 国内ベンダのコンシューマ機としては電波の送受信能力は最上位。遠くまで飛ばしたいとか壁を抜けて通信したいみたいな場合に好適。アンテナの向きは結構影響するので色々試してみるのがいい
  • 筐体とヒートシンクがデカいせいかそれほど熱くはならない
OpenWrtの導入
  • ほどほどの難易度。AOSSボタンでTFTP経由のinitramfsでブートしてsysupgradeするパターン。初体験だと少々戸惑うが慣れると特に難しくはない
所感とか
  • まずまず古いのでヤフオク等で中古で安価に出ている
  • 筐体がデカくて置き場を選ぶ。アンテナも含めると縦にも横にもデカい。モビルアーマーというかカニと言うか
  • 我が家では一時期メインでPPPoEでのインターネット接続ルータ+Adblock+WireGuard役として使っていたが、徐々にメモリリークというかBufferの使用量が増えていくようになり、Bufferが300MBを越えたあたりでリブートがかかるようになったので、スクリプトで毎週日曜早朝に再起動させて対処していた。しかしその他にも低頻度(月イチくらい?)でPPPoEが応答しなくなったりしはじめたので、結局引退させた。この機体以外のOpenWrtではBuffer増加は見られない現象だったので、おそらくハードウェア的にメモリの問題を抱えた個体を引いたのだろうと思っている。

Buffalo WXR-2533DHP2

性能/使い勝手
  • WXR-2533DHPと一緒。ヒートシンクが小さくなったので軽くなった。でもCPUの温度はあんまり変わってない不思議。USB3.0ポートが削られて1つだけになったが筆者は2つ同時に使うこともないのであんまり関係がない。電波の送受信能力も概ね一緒
  • 筐体サイズも全く同じなので相変わらずデカい
Openwrtの導入
所感とか
  • WXR-2533DHPと一緒(三回目)。デカい以外は特に文句はない。中古のタマ数はこちらのほうが多いので入手しやすいかもしれない

Buffalo WTR-M2133HS

性能/使い勝手
  • これも一応フラッグシップ寄りの機体で、作りはいい。CPUは周波数が低いので1Gbpsの回線で最大スループットを計測みたいなことをやらせるとちょっと厳しくなるかもしれないが、4コアなのでサービスを色々走らせる分には安心。メモリも512MBある。ストレージ領域がちょっと小さいのが難点だが、USBポートがあるのでextrootできる
  • 5GHz帯が2つ使えるトライバンド機だが、W52/53とW56でインターフェースが分かれており、それぞれMIMOは2x2でリンク速度は866Mbpsが最大である点に注意
OpenWrtの導入
  • ケース開腹不要なので、まずまずやりやすいほう。AOSS長押しでTFTPからinitramfsブートしてsysupgrade。Buffalo機では良くあるパターン
所感とか
  • 「それは家庭用Wifiルータというにはあまりにも大きすぎた」と言いたくなる存在感の強さ。円盤の直径もデカいが厚みが7cmもあり、その上に外付けアンテナが鎮座しているので実質10cm以上。感度調整で中央のアンテナを立てたりしたらもっとスペースを食う
  • ハードの質は良く、状態の良い機体が安価に中古で流れているのでOpenWrt機としては悪くないのだが、置き場所を考えてから確保するといい。私は確保後ほどなくして再放流しました

NEC WG2600HP

性能/使い勝手
  • 発売当時、BuffaloのWXR-2533DHPと競合するポジションだったNECのコンシューマ向けフラッグシップ機。CPUもメモリ容量も一緒。OpenWrtで使えるストレージは23MB程。まずまず大きいが、追加パッケージを色々突っ込みたいならUSBメモリでoverlay拡張する必要があるだろう
  • (ハイエンドにしては)筐体がコンパクトなのが強みだが、詰め込んでいるので熱々になる。無風状態だとアイドル状態で室温+40℃行く。最初からその前提でデザインされているのだから温度など気にせず使えばいいのだろうが。しかしUSBメモリを挿して運用したらポート周りがさらにアツアツになって動作に問題をきたすことがあったので注意。発熱の小さなUSBメモリを使ったほうがいい。当方では5v化した12cmファンの上に乗せて運用した
  • 電波の送受信は、WXR-2533DHPなどの筐体デカい系に比べると少々レベルが落ちる。我が家ではざっくり3~5dBm程度低く、階をまたいだ5GHzの通信ではちょっと心細い感じ。まあ大半のお宅では十分だろうと思うけども
OpenWrtの導入
  • 最も面倒な部類。固く閉まったケースを殻割りしてヒートシンクを外して基盤を露出させてシリアル接続でコンソールに入って環境設定を行ってからTFTPでinitramfsしてsysupgrade。ケースががっちり閉まりすぎているので、内側のツメを外す際にはケースをぶっ壊す覚悟完了が求められる。慣れるとコツがつかめるのだが、初見だと力の入れ加減なんて分からないし、こんなもん何度もやって習熟するもんでもないし。
所感とか
  • コンパクトで性能も良くOpenWrt機としては悪くない機体なのだが、発熱とストレージ容量の少なさが若干のマイナスポイント。そして何よりも殻割り&シリアル接続がハードル。ただし中古価格は相当安くなっていて1,000円くらいで手に入ることもあるので、ケースなんて飾りです、偉い人にはそれが分からんのです、くらいの感じでぶっ壊し上等で挑むといいだろう
  • NEC機はACアダプタのコネクタが独自仕様で他社ルータと共用できないのが微妙にマイナス。変換アダプタは売ってますけども。そういうとこやぞNEC

NEC WG2600HP2

  • 前モデルのWG2600HPと全く一緒。ケース外側の色使いがちょっと違うだけ。殻割りが大変なのも同じ。シリアル接続で起動させる際の手順だけが一部異なるので、musashinoさんのサイトを見てHP2用の手順でやること

Netgear Orbi RBR50

性能/使い勝手
  • Netgearから家庭内メッシュという売り文句で出ているトライバンドルータ。CPUに4コアのQualcomm Atheros IPQ4019でメモリは512MBと、ハードウェアスペックはGoogle Wifiに似ているパターンである
  • 5GHz帯用のWifiアダプタが2系統装備されていて、片方はW52/53を、もう片方はW56を担当している。W52/53はアンテナ2本で最大866Mbps、W56は4本で最大1733Mbpsである
  • USBポート1つを装備するが、2.0である点に注意
  • 電波の送受信はまあまあ。送信は弱め。WXR-2533DHPには全然及ばない。WG2600HPといい勝負か若干劣る程度
OpenWrtの導入
  • 開腹不要。まずまず簡単な部類に入る
  • Netgear純正ファームのWebUIから直接OpenWrtを突っ込んでアップデート可能とされているのだが、実際にはかなり難しい。WebUIからOpenWrtのファームウェア(factory.img)を指定して更新しようとすると「対応してないファームウェアなのでアップデートできない」みたいなエラーメッセージで弾かれる。何度やっても弾かれるが、ここで目を皿のようにしてWebコンソールを見ていると、エラーが出る前にほんの一瞬、おそらく0.1秒程度の僅かな間「アップデートしますか YES NO?」という文字列とボタンが表示されていることに気付く。おもむろにYESボタンの位置を覚え、改めてOpenWrtファームをアップロードし、すぐにマウスカーソルをYESボタンが出てくる位置に合わせて右クリックを連打して上手くクリックを差し込めれば、後は普通に更新されて再起動後にはOpenWrtが立ち上がってくる。のだが、このタイミングが非常にシビアで何度もやり直すことになり、時間がかかるし忍耐力が試される展開になるのでお勧めできない
  • 最初からnmrpflashを使ったほうがお手軽で早い
    https://openwrt.org/docs/guide-user/installation/installation_methods/nmrpflash
所感とか
  • これもまずまずの高級機で、性能は悪くない。トライバンドデバイスなので、5GHzオンリー環境で異なる周波数帯を併用したメッシュやWDSの中継器兼アクセスポイントとして活用できる。W52/53はリンク速度が866Mbpsまでだが、余程多くの端末を同時利用させない限りは実用上の影響はそれほどはないだろう
  • 4GBのflash(eMMC)が搭載されているのだが、OpenWrtで使えるoverlayの空きは22MBほどしかない。未使用の2GBパーティションがあるので、文鎮上等でこっちをoverlayとして使えないか試したが何故かmountできず失敗した
  • なので次にUSBメモリでoverlayの拡張(extroot)をしようとしたが、こちらも「unable to load configuration (fstab: Entry not found)」と怒られて失敗した。一部のeMMCデバイスで起きているバグらしいが回避方法不明。前述のeMMCボリュームのoverlayへのマウントが失敗するのもこのバグくさい。23.05特有なのかもしれないのでダウンバージョンして試そうと思うがとりあえず放置
  • 筐体がデザイン優先気味で丸みを帯びていて直立置きが前提で結構大きいので、置き場所は少々選ぶ。さらに背面のEthernetポートから90度の角度でケーブルが出ることになるので、余計に設置場所を選ぶ。もう少しコンパクトだと良かった。筐体はザラザラの白い表面仕上げで、汚れが付きやすく黄ばみがちなのがちょっと気に入らない
  • Netgear機はやらかして起動しなくなってもほとんどの場合nmrpflashですぐに復活するから気が楽でいい
  • 近頃は安価なタマ数が少ない感じ。あまり入手しやすくはない
性能/使い勝手
  • しばらく前のOpenWrt定番機。Ethernetはフルギガビットで5ポートあり、USBも2.0だが2ポートある。電波の飛びも悪くない
  • CPUは1コアでパワフルではない。いろいろやらせるほどの性能はない
OpenWrtの導入
  • 最も簡単。Webコンソールからfactory.imgを突っ込むだけでOpenWrt化できる。初めてのOpenWrt体験に向いている
  • TFTPでのリカバリもできるので気が楽
所感とか
  • 純正ファームだとNATのパフォーマンスがワイヤスピードに近いところまで出るのだが、OpenWrtにすると300Mbps以下くらいまで落ちてしまう。うーむ
  • 筐体は意外とデカく設置面積を食う
  • 長らくOpenWrtの定番だったが、流石に今となってはちょっと古い。初めてのOpenWrt体験を1,000円くらいでしてみたい、という用途にはいいかも

Asrock G10

性能/使い勝手
  • ハードウェアスペックはWXR-2533DHPやWG2600HPとほぼ同じ。よっぽど色々やらせなければOpenWrt用としては十分だろう。USBポートもある
  • 空きストレージ34MB
  • 送受信能力はまずまず。WXR-2533DHP > Asrock G10 > WG2600HP
OpenWrtの導入
  • Webコンソールからfactory.imgを指定するだけ。最も簡単なタイプ
  • 導入作業時はDHCPを配るルータの配下にWANポートをつなぎ、WANにIPアドレスが割り当てられる状態で作業すること。純正ファームは起動時にWAN側にIPアドレスが振られないと長時間タイムアウト待ちをするので、WANに何も刺さずに起動するとWebコンソールから操作が可能になるまでかなり時間がかかる。長すぎて最初は不良個体かと思った。ひとたびタイムアウトから脱して操作可能になっても、何か操作するたびにまた待ち状態に陥って非常に苛立たしい、というか作業にならない
所感とか
  • イロモノっぽい(というか実際イロモノである)が、中身は至って普通の当時のハイエンド機。WXR-2533DHPやWG2600HPと互角と考えていい
  • タマ数が少なく中古市場に全然出回っていない。この記事が誰かの役に立つこともないだろう。私はたまたまメルカリで1,500円くらいで見つけて意味もなく掴んでしまいました。多分全然売れなかったんだろうなあこれ。担当者が突っ走りました、または役員の一言で決まっちゃいましたパターンかな
  • かなり筐体がデカい。表面に謎に凹凸をつけているせいで縦置きしかできないのが面倒くさい

Buffalo WCR-1166DS

性能/使い勝手
  • 2016年発売の、一人暮らしワンルーム用を想定したと思われるルータ。性能はおしなべて低く特筆すべき点はない。ストレージ領域もギリギリなので色々追加はできない
  • Ethernetも100Mbpsだし
OpenWrtの導入
  • TFTPでinitramfsしてsysupgradeで行けたと思う。Buffaloお約束の手順
所感とか
  • 何ということもない古い機種なので、結構500円くらいで投げ売られている
  • 性能面では見るものはないのだが、筐体がコンパクトという強みがある。我が家ではメッシュの端っこに設置して、干渉しないよう出力弱めのAPとして未だに稼働中である。日本では小さいは正義

Netgear R6350

性能/使い勝手
  • かつて新品3,000円強で売られていたコンシューマ向けルータ。当時の大定番2コア4スレッドのMediaTek MT7621ATにメモリ128GBでUSBポートも搭載している。純正ファームだと5GHzがW52しか使えない残念機だが、OpenWrt化することで全チャネルの以下電波法がどうたらこうたら(略)
  • Wifiの送受信については受信性能は高いが送信が弱い
  • overlayは27MBほど空いていて比較的余裕があるほう
OpenWrtの導入
  • WebコンソールからOpenWrtのイメージで更新するだけ。最も簡単な部類
  • nmrpflashも使えるので安心
所感とか
  • メモリ搭載量が128MBしかなく若干の不安があるが、extrootもできるし、スペック的には一通りのことはこなせる
  • いかにもコストカットが最優先されたMT7621のコンシューマデバイスという感じで、カタログスペックは悪くないが作りは安っぽい(実際価格も安かった)。当方の運用ではハングアップやリブートすることもあり、長時間稼働時の安定性には(ハードウェア的に)欠けるイメージ
  • 意外と筐体がデカく設置面積を食う。殻の中はスカスカなのでもっとコンパクトにまとめて欲しかった。まあUS市場向けだろうからしょうがないけど
  • ヨドバシや尼で販売されていた頃は新品購入してOpenWrt化する候補として安価でオススメだったが、今は中古でも全然流れていないし、探してまで試す価値のある機体ではないと思う

Sony NCP-HG100

性能/使い勝手
  • 変わり種で中々面白い機体
  • (ITに疎いコンシューマにぼったくり価格で金を払わせる)高付加価値なサービスに付属させるルータであるせいか、ハードウェアは良い感じ。コンパクトな筐体の中にコストをかけてデザインされたと思われるボードが配置されている
  • スペックはGoogle WifiやNetgear RBR50と概ね同じ。Qualcommの4コアCPUに512MBメモリ、4GBのeMMCを搭載。OpenWrtを動かすにあたって能力が不足するシーンはあまりないだろう
  • ビルドをポートしてくれたmusashino_205先生の配慮のおかげで、OpenWrt導入直後から1.6GBという圧倒的に広大なストレージ領域を利用できる。ラズパイやx86などを除くと、extrootせずにこれだけのストレージを使える機体は滅多にない
  • さらにGoogle Wifi向けと同じ手法を使ってcfdiskからresize2fsすることで、OpenWrtでは使うあてのないセカンダリのOSイメージ用の領域2GB弱をごっそりoverlayに持ってきて合わせて3.4GB程度のストレージ領域を利用できる。しかしこのステップは文鎮化の危険を伴う自己責任行為であり純正ファームに戻れなくなる可能性があるのでやめておきましょう。1.6GBで十分だよね
  • ネットワークポートはWANとLANそれぞれ一つ、合計二つ。これもGoogle Wifiと同じ
  • USB3.0ポートもある
  • SIMスロットがありモバイル回線に接続ができる、というかそのためのデバイス楽天回線固定にするための小技や、接続を安定させるための通信カードUSB2.0化工作などのテクニックが必要になるらしい。私はモバイル通信を使ってないのでこれらの改造はしてません
  • この手のルーターとしては珍しくファンを搭載していて高温時に回る。ハードウェアでの自動制御らしくOpenWrt側では制御できない。うるさくて気になるわ!という場合はボードからケーブルを抜いて強制的に黙らせる選択肢もある。アイドル状態だと基本的には静かであるが...
  • 外周部にぐるっとLEDが配置されていて派手というか眩しい。純正ファームだと起動後しばらくすると消えるがOpenWrtだと常時点灯するので、視界に入る位置で定常運用する気にはならない。ボード上のLED用コネクタを抜けば常時消灯にすることはできる
  • Wifi電波の送受信能力は低め。遠くまで飛ばないし受信も弱く、階を隔てると結構厳しい。遠いところにいるピアと通信させるのには向かないと思われる
  • ACアダプタは外径5.5mmで内径2.5mm。BuffaloとかNetgearで標準的に使われている内径2.1mm版だと刺さらない
OpenWrt化
  • まあまあ面倒。ケースを開けてUARTにピン立ててシリアル通信でパラメータ等を指定した上でTFTPにinitramfsイメージを取りに行かせて、ブートしたらsysupgradeのパターン
  • ただしケースは比較的開けやすい。薄いプライヤーがあれば問題ないだろう。上蓋と本体がケーブルで繋がっているので、爪が外れて上蓋を持ち上げる際にはケーブル周りを損傷せぬようゆっくり上げていくこと
所感とか
  • 新品2,000円程度でヤフオク等で調達できる。中古本体のみなら1,000円ほど。LEDが無駄に眩しかったり、たまにファンがうるさかったり、ルータとしての性能以外のところで微妙に使いづらい印象があるが、ハードウェアのスペックを考えると、現在入手可能なOpenWrt機としてはかなりの高コスパである。モバイル通信で遊びたい人にとっても数少ない選択肢の一つ
  • しかしOpenWrt化は少々面倒なので、シリアル通信って何?という人はやめておくおくのが無難
  • 1.6GBのストレージ領域は魅力的。これのためだけに本機種を選ぶのもアリだろう

Cisco Meraki MR42

MR42についてはインストール手順と所感を切り出して別途まとめています

nanotech.hatenablog.jp

性能/使い勝手
  • 大人数のオフィススペース等で使われることを想定した企業向けデバイス。利用目的も価格も全然違うので当然だが、OpenWrtで良く使われるコンシューマ向けデバイスとは作りが別格である
  • CPUには1.4GHzで動作するQualcomm Atheros IPQ8068を搭載。4コアとされているが、このうち2コアは暗号化か何かの特定目的専用コアらしく、OpenWrtでは2コアしか使えない。WG2600HP等が持つIPQ8064と同等の性能だろうと思われる
  • メモリ512GB、ストレージの空き領域は57MBほど
  • Ethernetは1ポートだけ。USBポートはないのであれこれ繋いで遊ぶには向かない
  • Wifi送受信能力はトップクラス。WXR-2533DHPよりもさらに一段階性能が高い。MIMO3x3なのでリンク速度は最高で1300Mbps止まりになるが、実用上の問題はあまりないだろう
  • CiscoWifiバイスにたまにある「スペクトラム解析専用のWifiアダプタ」が装備されている。オフィシャルファームではこれを周辺の電波状況スキャン専用に使い、結果に応じてバンドステアリングとか色々なクライアント制御に活用しているらしい。OpenWrtではこの第3のチャネルを独立したWifiアダプタとして普通に利用できる。従って、実はこれトライバンドデバイスである。ただしこの第3のアダプタはアンテナ1本なので、リンク速度は5GHzで433Mbpsが上限で、実測だと200Mbpsちょっとになる。スマホタブレット用には十分使えるが
  • PoE給電対応だが設備がないので試してない
  • ACアダプタは外径5.5mm内径2.5mm。純正は2.5Aだが、単体で11acだけで使う分には1.5Aでも一応普通に動いた。Buffaloとかのルータに付属する内径2.1mmのやつだと刺さらないので変換アダプタが必要になる
  • 巨大な金属板がヒートシンクとして働くせいかCPU温度は非常に低く抑えられている。ファンレスだがアイドルだと室温+15℃くらいである
OpenWrt化
  • 最も手間のかかる部類。プラのガワを外して多数のネジで固定された金属外殻を開けてUARTにアクセスして、有志謹製のpythonスクリプトでu-bootを流し込んでTFTPでinitramfsしてsysupgrade。途中でパーティション情報を弄る操作などもする必要がある。ハックしてくれたメンバーに大感謝
  • プラ外殻はそこまで強固にはまっておらず爪が小さいので、薄いプライヤーで少しずつスライドさせていけば案外素直に外せる
所感とか
  • クラウド管理型」という謳い文句の機種で、管理機能が全てインターネット越しのクラウド側にある。ライセンスが切れてしまうと単体では何の機能も使えず全くの文鎮と化すので、役目を終えて撤去されたと思しき機体がヤフオクあたりで格安で投げ売られている。2023年末現在、特に苦労せずに2,000円台で入手できる。ビジネス的には合理的な仕組みなのだが、なんともはや...
  • 電波の送受信能力が高くCPUの性能もあり、動作も極めて安定していて、無線LANアクセスポイントとして大変使いやすい。Ethernetポートが一つしかないのが残念だが、ハブをぶら下げれば解決できるし。OpenWrt化が面倒なことを除けば言うことはない

Cisco Meraki MR52

性能/使い勝手
  • MR42にEthernetポートが追加されて2ポートになり、5GHzのアンテナが4本になってMIMO4x4に強化されたもの。その他のスペックはいっしょ
  • マイナーチェンジに見えるのだがそうでもないらしく、筐体は一回り大きくなり、外殻の下に収められているアンテナの形状も全く別のものになっている
  • CPUはMR42と同じ。放熱用の金属板も同じ、というかむしろ巨大化しているのだが、CPU温度は何故か5℃から10℃程度高い。なんでやねん。しかしMR42比較では高いというだけであり、発熱はプラの外殻を触るとほんのり暖かい程度である
  • 電波の送受信能力もMR42とほとんど同等で、良好である
OpenWrt化
  • MR42とほぼ同じ。スクリプト実行時の名前指定と、途中のパーティション削除のステップが不要になるところが差分。作業時にはちゃんとMR52向けのInstructionに沿って実行しよう
所感とか
  • Ethernetポートが2つになったので、有線でのインターネットルータとしても使えるようになった
  • まだ中古のタマ数が少なく、入手しづらい。もうちょっとすると増えてくるのだと思われる。私は偶然ヤフオクで見つけて確保しました
  • MR42と同じく、作りがしっかりしていて安定動作する良い機種。長期連続稼働で安定しているのが何といっても素晴らしい

FortiGate 50E

性能/使い勝手
  • Wifiを搭載しない有線オンリーのデバイス。合計7つのEthernetポートを持ち、多数の機器を有線でぶら下げたい場合や、複数のセグメントを切ってNWを構成したい場合などに向いている
  • CPU性能がまずまず高く、RAMが2GBあり、USB3.0ポートもあるので、拡張して色々楽しみたい場合にも向いている
  • 使えるflashの空き容量が小さいのが残念
  • コンソールポートがあるので雑に弄っても気が楽である
  • ACアダプタのコネクタが独自形状なので注意
OpenWrt化
  • ケースを開けずに導入できる。手順自体はそれほど複雑ではないが、RJ45タイプのシリアルケーブルが必要になる点に注意
  • コンソールポート経由からシリアル接続してTFTPでinitramfsを取得させてブートしてsysupgradeのパターン
所感とか
  • Wifi不要な使い方をしたい場合に向く。CPUパワーとメモリ量もある。ストレージ空き容量が狭いのが残念。extrootはできる
  • ライセンスが切れた機体なら3,000円以下でヤフオク等で入手できる
  • (公式には何も発表されていないが) 製造時期が古い機体で基盤の不良でNW接続が不安定になるような感じの報告がフォーラムで見受けられる。中古を入手する際には少なくとも「管理コンソールにアクセスできる」ところまで動作確認が取れている個体を狙うのを推奨する
  • 前述のとおりACアダプタ形状は独自なので、本体とセットで確保すること。安く売られている機体は本体のみの場合が結構多い
  • 1,000円くらい足して、SSD内蔵の52Eを狙ったほうが遊べていいかもしれない

GL.iNet GL-AR750S-ext

性能/使い勝手
  • 小型のトラベルルータ。CPUはQualcomm Atheros QCA9563で775MHzのシングルコアでメモリ128MBと、色々やらせるには若干力不足感があるが、トラベルルータなので当然である
  • USB2.0ポートとSDカードスロットがありextrootはしやすい
  • 発熱は結構あり、夏場に無風で常時稼働させるのは若干不安になる。ファンを併用したい。トラベルルータなので当然である(2回目)
OpenWrt化
  • ファームウェアの選択など多少の注意点はあるが、基本的にはWeb GUIからOpenWrtを突っ込むだけ。最も楽な部類である
所感とか
  • 中古で2,000円くらいで転がってたので何故か掴んでしまった。小型でUSB給電(Micro-Aだが)で動くので置き場所がないところで使ったり、ちょっとしたテストをするのに向いているが、基本的にトラベルルータなので以下略
  • GL.iNetは順調に新製品の投入を続けており、OpenWrtを導入できる同サイズで高性能な機種の選択肢が増えている。2023年の今となっては、積極的にこの機種を選ぶ必要はないだろう
  • 我が家での役回りは旅行時のTailScaleゲートウェイ

以上